日本の選挙といえば、選挙カーから響いてくる候補者(こうほしゃ)の名前の連呼がつきものです。
選挙戦の序盤(じょばん)では、
「地域に根ざした政治を目指す、○川○男」でございます!」
といった一応のキャッチフレーズがついていますが、終盤(しゅうばん)になると、
「○川○男、○川○男を、なにとぞ、よろしく」
といった具合に、名前の連呼だけになってしまいます。
一体全体、この方法で、本当に効果が上がるのでしょうか?
選挙カーの名前の連呼は、心理学的に見て効果あり!
特に最近では、選挙カーの発する名前の連呼がうるさいと、有権者から苦情や批判の声が出ているという話も聞きますが…。
ところが、これを心理学の立場からいうと、心理的に逆効果と思えるこの名前の連呼にも、「親近性効果(しんきんせいこうか)」というものがあるといいます。
これは、接触したり体験したりした回数の多いものほど、人は親近感・好感を強く抱くようになる、というものです。
人は、まったく知らない人や物に対しては、恐れや不安を抱きますが、何度か触れ、記憶しているものに対しては、安心感や親近感をもつものです。
選挙においても、有権者は何度も候補者の名前を聞いているうちに、この「親近性効果」が働き、無意識のうちにその相手に対して親しみを感じるようになるといいます。
またこの効果は、10回くらいまでは、聞いた回数に比例して高くなります。
なので、同じ地域を何度も回り、6回、7回と繰り返し聞いてもらえば、それだけ効果が大きくなっていきます。
「おい、見ろよ! タマが選挙カーに乗って選挙演説をしてるぞ!」「あっ、ホントだ!」
写真は、こちらからお借りしました。
それでは、それ以上の回数の場合はどうなるのでしょうか?
この場合、あまりしつこいと、
「騒々しい!」
といった反感に変わると考えてよいでしょう。
このあたりの心理についても、有権者の立場に立って考えられるかどうかが、選挙の勝敗を分けるのではないでしょうか。