実は本当の父親じゃなかった、といった人間の血縁関係はもとより、最近では生物の祖先を調べたり、ウイルスの型を診断するときなどにも使われるDNA鑑定。
その活躍の場は、さらに広がっています。
このDNA鑑定は、身近な食べ物の調査にも使用されていることをご存知ですか?
DNA鑑定が食品に使われるようになったきっかけ
それでは、DNA鑑定は、いつから食品に使われるようになったのでしょうか?
そのきっかけとなったのは、2007年(平成19年)に社会問題となった「食肉偽装事件(しょくにくぎそうじけん)」です。
この事件は、かつて北海道苫小牧市(ほっかいどうとまこまいし)に本社のあった食品加工卸売会社・ミートホープ株式会社が起こしたもので、同会社ではコストダウンのため、加工肉の中に廃棄肉や牛や豚の内臓など安い物や添加物を配合していました。
ミートホープ株式会社は、2007年(平成19年)に牛肉ミンチ偽装事件をはじめとする数々の食品偽装事件が発覚して倒産しましたが、この事件以後、農林水産省がひき肉のDNA分析を行ない、偽装肉防止に努めています。
ミートホープ本社苫小牧工場
写真は、こちらからお借りしました。
DNA鑑定による分析の方法は?
DNA鑑定による肉の分析は、どのように行なわれるのでしょうか?
まず、検体(けんたい)となる肉からDNAを採取(さいしゅ)します。
そして、牛やブタの塩基配列(えんきはいれつ)をもったDNA断片と試薬を加えます。
すると、もしも同じ種類の肉であれば、DNAが増殖するため、何の肉かが分かる、という仕組みです。
初期のDNA鑑定では、牛肉かブタ肉かなどの大きな違いしか分かりませんでした。
しかし最近では、DNA鑑定の精度向上により、産地の違いや品種の違いなども、ある程度ですが分析できるようになったといいます。