中国で、日常生活に欠かせないプーアル茶。
独特の風味と香り、そして深い味わいが魅力のお茶です。
このプーアル茶は、緑茶を黒麹菌(くろこうじきん)などとともに長期熟成させて作る「後発酵茶(こうはっこうちゃ)」で、10~20回ほど繰り返し飲むことができます。
さて、プーアル茶をおいしく淹(い)れるためには、熱湯を注いで短時間で成分を抽出(ちゅうしゅつ)するのがコツです。
そのためには、お湯を入れる保温性の高い容器が必要です。
そこで、中国・上海(しゃんはい)の茶製造・販売大手「大可堂」が目をつけたのが、岩手の伝統工芸品でもある南部鉄瓶です。
プーアル茶の味の決め手は、南部鉄瓶にあった
南部鉄瓶
写真は、こちらからお借りしました。
同社は、岩手県奥州市にある、1852年(嘉永5年)創業の老舗(しにせ)南部鉄器メーカーである「及源鋳造(おいげんちゅうぞう)」に、「最高のプーアル茶を淹れるための鉄瓶」を依頼しました。
保温性の高さに関しては、もともと南部鉄瓶の得意とするところです。
が、南部鉄瓶は、本来日本茶用に作られたもの。
プーアル茶から最高の味を引き出すためには、そのままでは不十分でした。
及源鉄瓶は、大可堂からの要望を受け、注ぎ口の切り口を変えるなど、数回にわたって改良を加え、約9ヶ月かけて理想のプーアル茶用の南部鉄瓶を完成。
大可堂の張奇明会長も、「パーフェクトな出来だ」と大絶賛します。
そして、完成した南部鉄瓶の価格は1個5~6万円で、年平均1000個を売り上げるヒット商品となったのです。