今や、ビジネスツールとして欠かせない存在である名刺。
この名刺という漢字を改めて見てみると、『名を刺(さ)す』と書かれています。
何故、名を”刺す”のでしょうか?
実は、名刺は昔、本当に刺していたのです!
「名刺」は昔、本当に刺していた!
名詞の起源は、古代中国(20~280年頃)まで遡(さかのぼ)ります。
この時代の身分の高い人たちは、誰かの家を訪問するとき、当時はまだ紙が発明されていなかったため、自分の名前と用件を記入した竹片や木片を持参していました。
そして、相手が不在の場合には、これを門前の箱に刺していったとされます。
これが「刺(さし)」と呼ばれ、のちに名前を刺すところから「名刺」となり、その呼び名が日本に伝わりました。
3世紀頃の中国のお墓から見つかった「刺」
写真はこちらからお借りしました。
日本の名刺は、平安時代に、貴族が自分の姓名(せいめい)や官職名(かんしょくめい)などを記して提出した「名符(みょうぶ)」という札が起源とされています。
なお、現在の中国語では、名刺は「名片」と書きます。
「名刺」では通じません。
もう、「刺す」ものではなくなったのですね。
しかしながら、中国のこの古い風習は、今もなお、日本語の「名刺」という漢字の中に、まだ残っているのです。