秋になると、植物は子孫を残すために、さまざまな方法で、たくさんの種子を飛び散らします。
その場に落とすだけのものから、自分ではじけて飛び散るもの、風に乗って遠くに飛んでいくもの、中には果実といっしょに鳥に食べさせてフンといっしょに落としてもらうものなど、実にさまざまなものがあります。
その中で、遊びにも使われる強力な「ひっつき虫」は、人の服や動物の体にくっついて運んでもらうチャッカリものです。
そしてマジックテープは、このひっつき虫、オナモミがヒントになって生まれたものだということをご存じですか?
「ひっつき虫」オナモミの名前は、「生揉み」から
「ひっつき虫」というのは、ゴボウやオナモミなど、服などにくっつく植物の実や種の総称で、犬の散歩に出かけたときに、ズボンや犬の毛についていることもありますね。
オナモミの名前は、葉っぱをもんでつけると虫さされに効くというので、「生揉み(なもみ)」からつけられたといわれています。
この実を、子供の頃に友達と投げ合って、セーターなどにくっつけて遊んだ経験のある方も多いのではないでしょうか?
マジックテープは、オナモミの実がヒントになって生まれた
さて、カバンや靴などに使われているマジックテープは、このオナモミの仲間(ゴボウ)の実がヒントになって生まれたものです。
スイス人の発明家ジョルジュ・デ・メストラル(George de Mestral)が、1941年にアルプス登山をした際、自分の服や飼い犬の毛についた「引っつき虫」が、なかなか取れなかったというエピソードにヒントを得たそうです。
オナモミの実を双眼実体顕微鏡で見ると、かぎ針が立体的に見えます。
これでは、引っぱったくらいではなかなか取れないはずですね。
以下は、マジックテープを上から見たところです。
こちらは、横から見たところ。
かぎ針に似ていますね。
一体、どのように作っているのでしょうか?
これは、もともとループになっているのを、小さな刃でカットして作っています。
現在も進化し続けるマジックテープ
かくして、ひっつきむしから発明されたマジックテープは、今ではベビー服からお年寄りの衣服まで、なくてはならないものとなりました。
マジックテープはまた、自動車や電車の座席カバー等に使用されたり、宇宙服にも使われたりと、あらゆる場面で利用されています。
使用される場面に応じて、強度や柔らかさなど、多くの改良が加えられて進化してきたマジックテープは今、従来の性能はそのままに、素材の変更、生産時の環境負荷物質(かんきょうふかぶっしつ)の排出を抑制するなど、環境への配慮も進められています。
おわりに
今日は、マジックテープは、オナモミの実をヒントに生まれたという話を書いてみましたが、いかがでしたか?
マジックテープといえば、これによく似た名前の、どこからでも切れる「マジックカット」というのがあります。
これは一体、どのような仕組みになっているのでしょうか?
答えは、以下の記事をお読みください。
参考にしたサイト
服につく種子-TOSSインターネットランド
http://tes.starclick.ne.jp/lesson/s/hittuki/hittuki.htm