「富士山の頂上に雲が傘のようにかぶったら次の日は雨」といった言い伝えがあります。
これは、本当なのでしょうか?
富士山に限らず各地に同様の言い伝えがあり、群を抜いた的中率
富士山に限らず、「山に笠(かさ)がかかると雨が降る」といった言い伝えは各地にあります。
雲や風、空気の湿り具合などを感じ取って天気を予報することを「観天望気(かんてんぼうき)」といいますが、山と雲の関係を読み取ったこの言い伝えは、民間に伝わる観天望気の中では、群を抜いた的中率を誇っています。
山の山頂にかかる、編み笠のような形をしたこの雲(笠雲)は、湿った空気が山に吹きつけ、山肌沿いに上昇するときに生まれます。
笠雲ができるときには、低気圧や前線(ぜんせん)が接近しているので、雨が降る確率は高いのです。
河口湖観測所の調査によれば、笠雲が現れてから12時間以内に天気が崩れる確率は、冬が70%、夏が75%、春か秋ならば78%の高さだといいます。
また、山の近くの上空に、ぽってりとした雲が浮かぶこともあります。
これは、山頂を越えた気流が、波のように上昇と下降を繰り返した際に、上昇した部分にできたもので、「つるし雲」と呼ばれます。
つるし雲が現れてから、6時間ほどあとに天気が崩れる確率は50%。
そして、前述の笠雲と、このつるし雲が同時に出た場合には、悪天候になる確率は80~85%にもなります。
こうなると、天気図上の予報も顔負け。
実際、気象台や観測所では、山に雲がかかる様子を、天気予報の際に多いに役立てているそうです。