テレビを日本の家庭に普及させたエポックメイキングな出来事といえば、昭和34年4月10日の皇太子(現天皇陛下)のご成婚中継です。
なかでも、ハイライトはおふたりが仲良く馬車に乗ってのパレードです。
写真は、こちらからお借りしました。
テレビ局は、この模様を生中継することになりましたが、問題がないわけではありません。
それは、沿道にマイクが置けないため、音声が拾えないことです。
というのは、当時のマイクは現在のような高感度ではなかったため、音源まで距離があると、音が拾えなかったのです。
そこで一計を案じたのが、ある音声係。
彼は、馬車のパカパカというひづめの音を、西部劇中の同様のシーンの音声で、また沿道につめかける観衆の声を、大相撲中継のときに録音した歓声で代用することを思いついたのです。
さて、いざ本番となりました。
馬車の音のほうは申し分ありませんでした。が、沿道を埋める観衆の声を良く聞くと、
「玉錦(たまにしき)!」
というかけ声が、その中に混じっていたのです。