結婚詐欺(けっこんさぎ)には、いろいろな手口がありますが、そのひとつに”落ち込んでいる女性を狙(ねら)え”というのがあるといいます。
落ち込んでいる理由としては、恋に破れた、仕事で失敗した、容姿に自信がないなど、いろいろあると思いますが、ともかく自信喪失(じしんそうしつ)気味の女性は、詐欺に引っかかりやすいのです。
これについては、心理学者・ウォルターの行なった、こんな実験があります。
女子大生に性格テストを受けさせて、1回目のテストが終わったら、ホールで待機(たいき)させます。
そこに、男子学生を登場させ、さりげなくデートに誘わせます。
2回目のテストが終わったところで、女子大生にテスト結果を教え、
「先ほどデートに誘ってきた男性をどう思いますか?」
とたずねます。
すると、面白いことが分かりました。
テストの成績が良かった女子大生は、特に好意を感じていないと答えましたが、成績の悪かった女子大生は、そろって好意をもっていると答えたのです。
もちろん、女子大生のテストの結果は、意図的(いとてき)に作られたもの。
要は、ウォルターのこの実験は、「人間は、落ち込んでいるときには、自分を認めてくれる人に好意を抱く」という仮説を証明するためのものだったのです。
そしてウォルターは、これを「自尊(じそん)の理論」と名づけていますが、結婚詐欺はともかく、この理論で結ばれたカップルは、けっこう多いかも知れません。