「灯台下暗し(とうだいもとくらし)」という言葉があります。
これは、「人は身近なことには案外気がつかないものだ」というたとえです。
この言葉は、灯台は周(まわ)りを明るく照らす反面、その真下は影になっていて暗いことから来ており、江戸時代の文学作品にも出てきます。
しかしながら、日本初の灯台が完成したのは1868年(明治元年)で、時期が合いません。
「灯台下暗し」の灯台とは、照明器具のことだった!
実はこの「灯台」というのは、港や岬、島などの要衝(ようしょう)に立っている航路標識(こうろひょうしき)のことではなく、昔使われていた油の入った皿に芯(しん)を浸(ひた)して火をともす、室内照明器具(しつないしょうめいきぐ)のことだったのです!
写真はこちらからお借りしました。
そもそも灯台の「灯」という漢字は、「激しい火」を表していますが、油皿を意味する旧字の「燈(とう)」と古くから混同されていました。
そして、常用漢字表(じょうようかんじひょう)でこの「燈」が「灯」に改められたことから、「灯台」が複数の意味をもつことになったのです。