運動会のときに、万国旗(ばんこくき)を振りますが、これは何故なのでしょうか?
また、万国旗にはどこの国の国旗が使われているのでしょうか?
そして、万国旗として選ばれる基準は何なのでしょうか?
運動会のときに万国旗を振るのは何故?
万国博覧会のように、賑やかで楽しい催しにしたいということから。
旧五千円札の肖像として有名な新渡戸稲造(にとべ いなぞう)の、1879年(明治11年)の札幌農学校遊戯会(さっぽろ のうがっこう ゆうぎかい)のスケッチに、日の丸のポールを囲むように10数本の旗が見えます。
これが、歴史に残る「運動会と万国旗」の第一号です。
日本大学文理学部の木下秀明教授は、運動会での万国旗の使用について、以下のように推測しています。
「小学校の運動会に万国旗が登場したのは明治20年代で近代五輪の始まる前。博覧会で万国旗が掲げられた装飾手法が、同じように人の集まる場所にも持ち込まれた」
つまり、多くの人々が参加する運動会も、万国博覧会のように、賑やかで楽しい催しにしたいということから、万国旗が掲げられるようになったということです。
「さあて運動会だ。気合を入れて頑張るニャン!」
写真は、こちらからお借りしました。
万国旗に使用されるのはどこの国の国旗?
日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなど、国際的影響力が強い国の国旗が使用される。
万国旗に使用される国旗は、一般的に以下の国々のものが含まれています。
日本
アメリカ合衆国
イギリス
フランス
ドイツ
イタリア
スペイン
カナダ
オーストラリア
ブラジル
韓国
中国
インド
ロシア
万国旗にこれらの国旗が使われる理由は、各国の国際的な影響力にあります。例えば、アメリカは経済的な強国であり、文化的にも多くの国に影響を与えています。イギリスやフランスも同様に、歴史的な背景や文化的な影響力から、国際的な場面での存在感が強いです。
これらの国旗を万国旗として掲げることで、イベントはより国際的な色合いをもち、参加者にとっても親しみやすい環境が生まれます。万国旗は、単なる装飾ではなく、国際理解を深めるための重要なアイテムでもあるのです。
近年では万国旗を飾らない学校もある?
このように、単なる装飾品にとどまらない、文字通り「万能」と思われる万国旗ですが、近年では、運動会に万国旗を飾らない学校や、児童の絵を旗にして振る学校も増えてきているようです。
その理由として、以下の3つが挙げられます。
1.近年、国旗を装飾として扱うことに疑問を持つ声が増えている。国旗はその国の象徴であり、軽んじられるべきではないという考え方が広まっている。
2.学校には、さまざまな国籍の生徒が在籍している。そのため、万国旗を掲げることで、特定の国の国旗が目立たなくなったり、掲げられない国の生徒に対して、配慮が欠けることになりかねない。
3.例えば、戦争等で特定の国同士の関係が悪化している場合、当事者国の国旗と並べることが、トラブルの原因になることがある。
以上の理由から、近年では万国旗の出番は減少傾向にあるようです。