昨今では、マンションの普及により、「勝手口」自体が少なくなってしまいました。
が、かつては台所が家の裏側や隅(すみ)にあり、勝手口が家の裏にあることも少なくありませんでした。
そのため、年配の人は、今でも台所のことを「勝手」、その台所に通じる入り口のことを「勝手口」と呼んだりします。
さて、そもそも、台所のことを、「勝手」と呼ぶのは何故なのでしょうか?
勝手口の「勝手」は弓道に由来する言葉
これには諸説ありますが、有名なのは、弓道に由来するというものです。
弓道では、弓を持つ左手を「押手(おして)」、弦を引く右手を「勝手」と呼びます。
そして、右手の方が都合よく動かせることから、この勝手が、「都合が良い」「気まま」といった意味で使われました。
そして、内情(ないじょう)を良く知っていて都合が良いということから、「暮らし向き」「様子(ようす)」を指す言葉となり、生計の意味から「台所」に転じたといいます。
写真はこちらからお借りしました。
「勝手」の他の説は?
「勝手」の他の説としては、食べ物に由来するというのがあります。
これは、台所が糧(かて、=食べ物)を扱っているところから、「勝手」になったとするものです。
その他、女性には自由があまりなかった時代に、唯一、女性が自由にふるまえる場所ということで、これが「台所」→「自由」→「勝手」→「お勝手」となったとする説があります。