ジュースなどによく書いてある、「濃縮果汁還元(のうしゅくかじゅうかんげん)」とは、どのようなものなのでしょうか?
濃縮果汁還元とは、文字通り、もとの果汁の水分をいったん蒸発させて、1/4から1/6程度に濃縮し、ビンや缶に詰める前に再び水分を加えて、もとの果汁100%に戻すことをいいます。
この過程を経ることで、海外などで搾(しぼ)られた安い果汁を、重量・容積を大幅に減らして運ぶことが可能となり、それによって輸送費を削減し、一年中安く作ることができます。
果汁を濃縮する方法として、広く一般的に行なわれているのは、「真空蒸発法」と呼ばれるもので、これは減圧(げんあつ)した装置内で果汁を加熱して、水分を蒸発させる方法です。
この方法を用いれば、数分で濃縮が可能ですが、加熱による香味(こうみ)の変化や、水分と一緒に果汁の香気(こうき)成分が揮散(きさん)するため、濃縮果汁を還元したものは濃縮前の果汁と同じものにはなりません。
これに対して、「凍結濃縮法」や「逆浸透(ぎゃくしんとう)濃縮法」と呼ばれるものがあります。
「凍結濃縮法」は、果汁を氷点下に冷却することによって生じた氷の結晶を取り除くことにより、果汁を濃縮する方法で、「逆浸透濃縮法」は、水分だけを透過する逆浸透膜を使って、果汁中の水分を取り除いて濃縮する方法です。
どちらの方法も、濃縮中に加熱を伴わないため、濃縮果汁を還元したものには濃縮前の果汁の成分や香気成分が保たれています。
参考にしたサイト
濃縮還元果汁とストレート果汁-果樹試験研究推進協議会
http://www.kasuikyo.jp/text/20-3.html