新たに建てられた劇場で行なわれる初めての催しのことを「こけら落とし」といいますが、この「こけら」とは、一体何なのでしょうか?
「こけら」というのは、材木を削(けず)ったときにできる、木くずのことです。
昔の民家の屋根の多くは、「こけら板」という薄い削り板で葺(ふ)かれていたことから、建物の新築や改装工事の終わりに、板の削りくずを払い落として祝(いわ)う風習がありました。
この風習にならって、劇場の落成や初公演のことを、ご祝儀(しゅうぎ)気分から「こけら落とし」と呼ぶようになったといわれます。
「ねえママ。こけらって、お金のない人のことだよね」「それは、おけら」
また、こけら板で葺かれた屋根は、決して贅沢(ぜいたく)ではなく粗末な構造だったことから、謙遜(けんそん)の意味を込めて「こけら落とし」というようになったという説もあります。