「安全かみそり」と聞くと、いかにも使用者にとって安全に使えるように設計されたかみそり、というイメージがあります。
しかしながら、なんと、このかみそりは、もともと「安全性重視」で発明されたものではありませんでした。
「安全かみそり」は「安全性重視」で発明されたものではない
「1回使ったら捨ててしまうようなものを発明したらどうだ? そうすれば、客は何度でも買いに来る」
と、あるとき雇い主にいわれた40歳のアメリカ人セールスマン、キング・キャンプ・ジレット(King Camp Gillette、1855年 – 1932年)。
彼は、明けても暮れても、頭の片隅で何かいいアイディアはないかと考えていました。
1895年のこと、ジレットは、セールスの旅先でひげそり用のかみそりを研(と)いでいました。
そのとき、彼の頭に妙案(みょうあん)が浮かびました。
「何でこんなに厚い刃にして、1回1回研がなければならないんだ? ”刃を薄い鋼鉄にして安くあげれば、使い捨てにできる!”」
彼は、「あまりのうれしさに、鏡の前で有頂天(うちょうてん)になった」と妻に手紙を書いています。
しかしながら、そのうれしさもつかの間でした。
当時は、鋼鉄をそれほど薄く延ばせる圧搾機(あっさくき)がなかったのです。
が、彼はそれにめげずに、6年もの間、工夫に工夫を重ねました。
かくして1901年に、エレベーターの押しボタンを考案したウィリアム・ニッカーソンを呼び入れ、アメリカ・セーフティー・レーザー株式会社を設立。
ニッカーソンは、翌年の1902年までに技術上の問題をすべて解決し、会社設立から3年後の1904年には、9万個のかみそりを販売しました。
このかみそりは、「安全かみそり」と名づけられていますが、当時のジレットは、かみそりの安全性を改良することなど、まったく考えていなかったようです。
ちなみに、これは何でしょうか?
はい、そうです。
「かみなり」、ですね。【><】