「月には水がある」といいます。
これは本当なのでしょうか?
「月には水がある」というのは本当?
月には大気がある?
月には大気がないというのが常識です。
が、正確にいえば、実はほんの少しだけあります。
ただし、その成分は、地球のものとはまったく異なっています。
地球の大気には、窒素(ちっそ)、酸素、アルゴン、水素、二酸化炭素などが含まれています。
一方、月の大気に含まれているのは、ナトリウム、カリウムといった元素(げんそ)です。
一体全体、何故このような違いがあるのでしょうか?
月の大きさは、直径において地球の1/4。重力においては、1/6しかありません。
そのため、地球の大気に含まれているような軽い元素は、早い段階で月の重力を抜け出して、宇宙空間に逃げていってしまいました。
なので、月に大気があるといっても、地球の大気よりもずっと薄いものです。
それでは、どのくらい薄いのでしょうか?
月の大気は、地球の大気を1とすると、その1京(けい)分の1くらいしかありません。
「京」というのは、兆の次にくる単位です。
乗数で書けば、10^(17)分の1程度(0.00000000000000001倍)です。
月の大気が、いかに薄いものであるかが分かるでしょう。
そして、月の大気には、1立方センチメートルあたり、ナトリウム原子が70個、カリウム原子が17個しかありません。
比率でいえば、ナトリウム原子が約80%、カリウム原子が約20%。
これはもう、ほとんど真空といっても良いくらいです。
なので、月には大気がないといっても、あながち間違いではありません。
月には水がある?
さて、それでは月には水があるのでしょうか?
月の表面には、「静かの海」や「豊かの海」と呼ばれるような海があります。
が、この海はもちろん、地球にある海のように、水を湛(たた)えているわけではありません。
月ができて間もない頃に、月に大きな隕石(いんせき)が衝突し、そのエネルギーで岩石が溶けてマグマとなり、デコボコのクレーターを覆(おお)い、平面を作りました。
これが、「月の海」です。
つまり、この「海」というのは、一種の比喩(ひゆ)表現なのです。
しかしながら、最近になって、”もしかしたら、月には水があるかも知れない”と考えられるようになりました。
それは、月の北極と南極の部分です。
これらの場所には、1年中光が当たらず、影になっている部分があります。
そしてそこに、氷の形で、水が存在するかも知れないというのです。
これがもし本当ならば、将来、月に人類の基地ができたときに、この水を利用できる可能性があります。