古くはネズミ講(ねずみこう)、最近でも振り込め詐欺(ふりこめさぎ)などの詐欺商法があとを絶ちませんが、こうした悪徳商法に引っかかる人は、実は過去にも同じような悪徳商法に引っかかったことのある人が多いといわれています。
つまり、性懲りもなくというわけですが、これは、何もその人がお人好しだとか、怠け者だとかというだけではありません。
心理学的にも、もっともな面があるのです。
人間はふつう、印象の薄いささいなことから忘れます。
しかしながら、たとえ印象が強烈なことであっても、自分にとって都合の悪いことは、率先(そっせん)して忘れるという面をももっています。
確かに、都合の悪いことをいつまでもずっと覚えていたら、そのストレスで参ってしまうでしょう。それも良く分かります。
心理学では、こうした心理を”能動的忘却(のうどうてきぼうきゃく)”と呼んでいますが、詐欺商法の被害にあったことが、「自分にとって都合の悪いこと」であるのは事実です。
そのため、コロリと忘れる。そして、また、同じような手口に引っかかる…。
かつて詐欺商法に引っかかったことのある人は、自分にはそういう資質(ししつ)があるということを肝に命じ、くれぐれもコロリと忘れないことです。